地味に甘い君
第29章 不穏の足音…
「ヤマト君――――!夏休みどっか行こうか!?」
――――は?夏休み…
雨の降る季節を鬱陶しく感じていたところに…赤羽から”夏休み“の話を持ち出され…顔が歪む…
「うわ…なに――――その嫌そうな顔…」
「いや…夏休みにいい思いでないから…」
「そうなんだ……」
地味人生を絵に描いたような俺の夏休みだ…想像がつくだろう…
小学校、中学校…は、インドアの定番読書に明け暮れた。
高校はもちろん…バイト三昧…
学生バイトなんて金額はたかが知れている…ほぼ毎日バイトした…
遊びに行く予定もないし――――…
別に…困らなかったけど!