地味に甘い君
第29章 不穏の足音…
その日は…バイトにも身が入らなかった…
食器を洗っているだけなのに…気が散り…いつもより洗い物が増えていった。
「おい――――内田君…大丈夫か?今日はなんだか顔色が悪い…」
「そ、そうですか?最近…雨ばっかりで…気が滅入ってるのかも…」
「そうか?――――っに、しても…顔色が悪い…今日はもういいから…帰りな?」
大丈夫――――と、言いたかったが…要ることで…迷惑になるかもしれないと…
「すみません…今日は甘えさせてもらいます」
と、帰る事にした。
いつもより早くバイトを切り上げた俺はビニール傘を開き――――…雨の中アパートに向かった。