地味に甘い君
第29章 不穏の足音…
アパートまで雨の中走ってかえった。
傘はさしていたのに…体はずぶ濡れだった。
でも、俺は体を拭くことすらせずに…玄関でうずくまり…
一晩――――…そのまま…朝を迎えた。
案の定――――…俺は体調を崩し…
次の日
大学もバイトも休んだ…
もちろん…
赤羽からの連絡に…返事をしなかった。
――――俺は…また、一人になったんだと…
熱のある体を布団に沈め…
泣いた。
「―――父さん…どうして…」
俺は――――…孤独を再び味わうのだろうか…
俺は身を縮め
不安を抱えて目を閉じた。