地味に甘い君
第31章 孤独の落とし穴
耳からジワジワと感覚が戻るような…
それは不思議な体験だった。
赤羽な声が――――…俺の停止した細胞を動かし始めたみたいだった。
――――あ~…甘えたくないのに…
と、思いながらも…赤羽の声を逃がさないように…掴もうともがく。
「ヤマト君――――…」
――――あぁ…俺の好きな声だ…
「ヤマト君――――…」
――――あぁ…安心する…
「ヤマト君――――…」
――――あぁ…赤羽…俺は…お前がいないと…
ダメみたいだ…
「――――ヤマト君…僕もだよ…ヤマト君がいないと…
ダメだよ――――…頑張れないよ…」
「あか――――…ば…ね…――――…」
「///ヤマト――――くん?」
俺は――――孤独の落とし穴の上から伸びる、白く長く…たくましい手を…掴んだ…
「ヤマト君!良かった!!」
引き上げられた――――…
そんな気がした。