地味に甘い君
第37章 最終章・卒業
「ここ――――…“オフィス陣ヶ岡”で手掛けている物件で!空き家や空き部屋を買い取ってリフォームしたやつなんだ!」
――――空き家?空き部屋のリフォーム…
「な…なんか…懐かしくて…」
「懐かしい――――…そうかもしれない…ちょっと一昔前っていっても…そんなに古くないって…陣ヶ岡さんも言ってた。ヤマト君が住んでいた家に…少し似てるところもあったかもね…」
俺は部屋の玄関扉の写真に目が釘付けになった!
「――――似てる…もう、無くなってしまったけど…俺のすんでた実家の扉に…」
「――――僕も…見たかったな…ヤマト君の住んでた実家…残念だよ」
赤羽はその扉の写真を一緒に見つめ…少し悲しい顔をした。
「――――よし、ここにしよう…
少し懐かしくて…でも新しい…ここから始めないか?俺たち――――」
俺は手の中で暖められていた指輪をそっと左手の薬指にはめると…テーブルの下で赤羽の手を握った!