
地味に甘い君
第39章 【番外編】財前の仕事…?
嬉しそうにする恋人の声に…少しだが…チクリと胸が痛む…
「――――卓郎……お前も…子供とか…欲しかったか?」
『――――え?…あ~そうだな、若いときはそんなことも考えた。でも、今は思わないな…幸い、孫の顔を見たいって言う両親はいないし』
「そうか――――…」
少し申し訳なく感じた…
もし、大学時代…卓郎にキスなんかしなければ…彼はまっとうな恋愛が出来たのではないだろうか…
私がそのあと、逃げて留学なんかしなければ…
『なぁ――――…くだらないこと考えていただろ?』
「え?――――いや…」
ドキッとした…たった数秒の沈黙だったのに…卓郎は私の心情を察した…
