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僕らのらんど

第11章 願い、そして…

気がつくと、僕は真っ白な空間に一人浮かんでいた。

「……死んだのか?」

いや、確かに死んだと思う。
だからここは──天国? それとも異次元空間?

僕はふうっと長い息を吐いた。

「やっと帰れるんだ、現実世界に」

短いようで長い戦いだった。
なんとかログアウトしようと必死で、休む暇もなくて。引きこもりの僕が沢山の仲間と出会ってモンスターと戦ったなんて、今でも信じられない。

「まあやさん……月影……アカツキちゃん……やんすさん……」

きっと今頃みんなも目を覚ましてるはず。
でも、僕たちの戦いはそこで終わらない。
みんなが頑張って戦った力、生命体エネルギーで隕石を破壊できないと、日本の真ん中はほぼ壊滅してしまう。

早く目を覚まして、どんな状況なのか確かめたい。
そう思うけど、この状況はいっこうに変わらない。

「もしかしてログアウトするのに時間かかるのか?」

それなら待つしかない。

僕はまあやさんの顔を思い浮かべた。
最初は女優の石毛さとみにそっくりだったから、思わず石毛さとみですか?って聞いちゃったんだよな。

化粧落としたらそうでもなくて、月影も突っ込んでてあれはちょっと笑った。
あ、こんなこと本人には言えないんだけどさ。
懐かしいな…。

「……まあやさんに会いたいな」

現実世界のまあやさんはどんな姿をしているかわからないけど、でも姿は変わっても気持ちは変わらない自信がある。

「まあやさん……まあやさんの声が聴きたいよ……」

早く帰って、本物のまあやさんを感じたい。

『───アキラくん……』

ほら、まあやさんのこと考えてたら幻聴が聞こえてきたぞ。

『───アキラくん……』

もしかしてまあやさん、僕が目覚めるのをそばで見守ってくれてるのかな?

『───アキラくん……どこ?』

「僕はここだよ、まあやさん」

『───嘘でしょ!?
アキラくんがいないなんてっ……!』

「………え?」


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