ドSメイドは基本普通の子
第27章 【最終章】ドSメイドは基本普通の子
「キャァ――――!」
「和歌子!!!」
目の前に――――…驚きの顔を見せた尾長さんが…振り切る手を止められず…
私に包丁を振り下ろす姿が――――…スローモーションのように見えた…
そして、痛みと共に――――…
ゆっくり…ハッキリと聞こえる…
アパートの住人の悲鳴と疾呼…
「――――和歌子!和歌子!!」
「……ちょう」
私は…切りつけられたのだと…
分かった。
――――痛い…
それなのに…
店長の声や…怒号を撒き散らし包丁を振り回す尾長さんの姿が――――…
ハッキリと見える…
痛みは…徐々に全身に広がる…
自分でもわかっている…右肩から…胸中に渡って切りつけられたと言うことは…
なのに全身が痛みで引きちぎられそうで!心臓がさっきより…早く動き回る!
流れる血が…どんどん冷たく感じ…
手足が――――…麻痺…する…
頭が――――…痛い!
「て――――ん…がっガガガガガガ…」
次の瞬間!
私の体は大きく痙攣を始め!陸にあげられた深海魚のように体を地面に叩きつけた!
そして、暗幕を下ろすように――――…
私の視界は…
真っ暗になった――――…