テキストサイズ

僕ら× 2nd.

第10章 …---… --Shu,Ar

「今まで、楽しかったよ。だけど俺、もう飽きたかな。だから、別れてくれ」

戻して、そして、しばらく沈黙する。

するとさ、予想通りに彼女は俺を心配してくれる。

「侑生君、どうしたの?」

と可愛く尋ねる花野。

「どうもこうも、ないよ」

そこでチャンネルチェンジ。

「お前より、好きな女ができたんだ」

またチェンジ。

「だから、降りて?迎えのクルマ、呼んでやるからな」

「え?」

訳もわからず唖然の花野に、取り繕いの声をかける余裕なんて俺にはきっとない。
口の動きで親父に見透かされちまう。
それに花野も突然演技なんて、できねぇだろ?

一時的なものだから少し我慢してくれ…と願い、スマホを構えて通話のフリ。

「あ、白峯さん?学校まで花野さんを迎えに来てください。俺、寄るとこあるんです、頼みますね?」

で、通話終了っ。

「侑生君、どういうことなの?」

「聞こえたろ?寄るとこあるんだ」

「そうなの。ねぇ、お顔、見せてほしいな?」

そんなイレギュラーなこと、言うなっ。
…これは、俺の願望。

「俺は見られたくねぇ」

「どして?」

「な?わかってくれ…急ぐんだ」

お願い、花野っ。

って、求められる男の気分を味わいてぇ。
ま、これはもしも、花野が予想外の嬉しい反応を見せてくれた時のための身の処し方だけど。

「……うん、わかった。ちょっとでも会えて、よかったよ。来てくれて、ありがとう。お土産、ここに置いておくね」

ドアを開けた彼女は、下唇をギュッと噛んで、必死に笑う、はず。

「ーーで、花野がクルマを降りるだろ。それで、アルロボ車は発進、親父も続いて小柴家に帰るんだ。そして俺は花野と合流!」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ