テキストサイズ

僕ら× 2nd.

第11章 フェイス --Mkt,R,Kn

日没後の紺色の空、一番星の足元で、これから膨らむ三日月をじっと見つめて。

「落ち込んだのはちょっとだけで、私は元気!」

そうは言ってみたけど、途端に彼の笑顔を思い浮かべてしまい、寂しさと悲しみが込み上げてきて。
私はツンと怒ったかのようにお兄ちゃんから顔を逸らして、目を閉じた。

じわっときていた涙を、目の下に押しこんで…よし!完璧!
やればできるじゃない、私!

「ああ、悪かった。冗談だよ。さ、帰ろう」

私の手を取って、歩きだすお兄ちゃん。
ぎゅっと握ってくれて、心強い。

そのまま小さな頃に戻ったような、暖かい気分に包まれる。


「お兄ちゃん、侑生君のこと調べてくれてありがとう」

「いいよ、これくらい。また、水族館行こうな」


お兄ちゃんって包容力あるよね。
きっとお仕事で忙しいのに、そんなトコ、微塵も見せないし。
それにそれに、大人で頼れてカッコいいし!


…お兄ちゃんの彼女さんは幸せだなぁ。。

!いけないっ、私。
鬼の小姑になってしまいそうだは。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ