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僕ら× 2nd.

第11章 フェイス --Mkt,R,Kn

「この先のあいつの家は引き払われてたよ。今は、別の男が住んでる。大学は行ってるらしいんだけど、つかまらない。柊は退院したし」

シウ君、退院したんだ…よかった。
だけど、ふたりがいなくなった?

「俺が出しゃばっても意味ないってわかってるけど、十発くらい殴ってやろうって思って。実家に行ってみたけど、何かごつい男がゾロゾロいて。会わせてもらえなかったよ」

ごつい男って、お兄ちゃんより?
じゃあ、私が家の前なんかうろついたら即、弾き出されちゃうね…。

「お兄ちゃん。侑生君、元気だよね?」

実家で静養してるなら、安心……。

「元気だったら俺が殺してやりたいけどな」

ニコリともせずにお兄ちゃんは言う。

「そんなこと言わないでよ。侑生君には、元気でいてほしいんだから。お別れはふたりで決めたことなのっ!」

お兄ちゃんのなかでは、私はフラれたことになってるはず。
まあ、その通りなんだけど、別れた理由なんてとても言えなくて。

だから彼が悪者になっちゃってて。

それを何とかしたいんだけど、家でメソメソしてたところを見つかってる私は、今更の言い訳が通らないでいて。
今も、どこに行こうとしたのかバレバレだし…。

もっと強くなれたら、いいのに。

なろうと思うことが大切なんだ。

さあ。顔を上げて、にしって笑うんだ。

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