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僕ら× 2nd.

第12章 IF --Khs,Ar,Shu,R

「ごめんね、花野さん。俺がきな粉餅が食べたいなんて言ったから」

こんなオオゴトになるとは思いもよらなかったであろう祐一朗が謝った。

「え?ごめんなんて、ないない!私も食べたかったから、いいじゃない?」

「ありがとう。俺それやってみていい?」

どうぞ?と彼女が退くと祐一朗は軽々と回し始めた。

「へぇ、わりと面白い。昔の人はよくこんなの考えたよなぁ」

微笑む彼女は、刷毛でできあがったきな粉を集め、ボールに移す。

「わっ!お餅が膨らんできた。和むね!」

森みは頃合いを見計らって、皿に移していく。
何をしたら……と迷いだした俺に、彼女はボールを渡してくる。

「晄志君は、お砂糖とぐる混ぜしてね」

俺にきな粉と砂糖の瓶を受け渡すと、彼女はお茶の準備に取りかかる。

何かいいなぁ、この全員で作るみたいな感じ。

数分後、俺たちは和の趣に浸っていた。


2順目の餅が焼ける頃、小津がドアを開けた。

「わっ、何この部屋!茶道部でも始めたの?」

小津は俺たちを見回した後、ぎょっと石臼を睨む。
わかるけど、その反応はないだろ?

「マコもどうぞ!おいしいよっ!」

「あんた、まさかここで餅つきとかしてないわよね?」

流石、腐っても親友。
彼女のことよくわかってるなぁ。

「まさかまさかぁ。杵が天井に当たっちゃったら危ないも?ドカーン、パリーンだよ」

え、それが理由?

俺はボーリングで、ボールをすっぽぬけさせていた彼女を思い出した。

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