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僕ら× 2nd.

第12章 IF --Khs,Ar,Shu,R

「おいしいっ。学校でお餅が食べられるとは思ってなかったわ」

湯呑みをテーブルに置いた小津は、ほうっと息を吐いた。

「次は気分を変えて砂糖醤油入場?あ、大根おろしも控えてます」

ガサガサと彼女はビニール袋の音を立てて、一本を取り出す。
そして、おろしがねも……。

「あっんたっ!大根まで持ってきたの?」

再度、小津の呆れた声が室内に響いた。

「え?そんなに驚くとこではありませんよ?」

「うん、わかる!最近まで旬のシーズンだよね!」

不思議顏の彼女のフォローに入った森みは、同じ意味を異なる表現で繰り返した。

「大根か…懐かしいね」

気を取り直した小津は"ふふふ"と意味ありげに笑う。

「ん?なあに?」

彼女たちに注目された小津は、俺に視線を向ける。

「ええと、ヨーダ。よろしく」

"よろしく"じゃないよ。
言いたいことはわかるけど。
あの博物館の大根ってんだろ?

あの頃は伊織も竹崎もいたんだよな……。
懐かしいというか、それぞれ2人の消え方が怪奇的なのに、どう説明しろっての?

「大根はおでんが旨いよな」

ここは伊織流に、はぐらかすに限る。

すると、彼女が乗ってくる。

「じゃあ今度うちで、しあわせわけっこおでんパーティしよう?」

それは、普通のおでんパーティとどう違うんだ?って頭の中で考えていたから。

「いいね!」

と祐一朗が一番に同意して、出遅れた俺は続いて手を挙げた。

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