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僕ら× 2nd.

第12章 IF --Khs,Ar,Shu,R

「おい、アル。窓に近づきすぎ!」

「んだよ、見えねぇんだよ?本当は俺、校内に入りてぇのに」

「んなもん知るか。お前が接触したと知れると、誰かが死ぬんだからな?もしかしたら、それはお前の彼女かもしれねぇんだぞ?」

辰巳が注意して、アルは一歩下がるも、再度半歩前に。

「あ?…あいつまさか。…図書館男?」

へえ?来てるんだ?
と思った俺も、下を覗く。

どこだ?と目を凝らすけど、ナース集団付近には見かけず。
だいぶんと離れた応急手当コーナーに見つけた。

「…和波さんと喋ってる男?」

「そう。スーツなんか着やがって、俺の花野に取り入る気だな」

「この近くに住んでるんだろ」

「あいつは俺と同じにおいがする」

「…晄志は?」

「しねぇ」

「じゃあ、あてになんねぇだろ」

晄志も未だ、花野ちゃんみたいだし。

「ふーんだ。いいもん、花野の好きなのは俺だもんね。べろべろばー」

やっと窓際から離れた幼児は、ノートPCの画面を見つめる。

「あぁ。あの発信機にマイクつけときゃよかったなぁ」

「そんなの、花野ちゃんが嫌がるだろ」

「指定音声が聞こえた時だけ、俺にも送信されるようにしたらさ。
そっか!スイッチがオンになるキーを”侑生君”にすればいいんだ。毎朝毎晩オンになるんだろうなー、もしかして5分おきだったりして」

「ああ、色男はつらいねぇ。
…最近はアホな会話ばっか聞かせてごめんな」

ため息のあと、俺は彩華さんの寝顔に語りかけた。

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