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僕ら× 2nd.

第12章 IF --Khs,Ar,Shu,R

~世尾湊(リース)side~

柊兄と久しぶりに喋った。
相変わらず優しくて、昔の調子で話してしまいそうで、必死に自分の褐色の手を見つめて頭を下げた。

久々のリビングでは、あろうことか取り乱してしまった。。

だって、小さな点を見ながら"脱ぎ脱ぎ"とか"水色"とか…言う?

アル兄のマイペースは健在で、俺は「呼び出し時間なので」と足早に退出したけれど、身バレに繋がりかねない怪しいことをしたかもしれない。。

その後に下された、命令。

「宮石家をつぶせ」、と。

そのために、俺の所属を一旦絶ち切ると。
もし、俺が捕まっても、自分たちに害が及ばないように。

計画もなにも用意されず、「年内にでもできるだろ?」と挑発目線で立ち去られた。

問題は、できるできないではなくて、何故に俺が抜擢されるのか。

ワナというよりも、捨て駒の可能性が高いかな。
期待されている、と思えなくもないけれど。

そんなに宮石家が怖いんだろうか?

小柴さんがどこにいるかつかめない今、どちらにしても、受けるしかない。
彼から聞いた計画は、もう少し先だったけど、これはもう俺が動くしかないんじゃないか?
それとも、これも、彼の計画のうち?

***

さぁて、本日は明るい皐月晴日。
湊の俺は、ピアノを弾き終わった彼女を講堂裏から見守る。

幾分か元気そうで、よかった。
声をかけたいけど、今日はこのままのほうがよさそうだ。

いつも、別れの際には思うことだけど。
これでサヨナラかもしれない。
今度こそ、本当にサヨナラかもしれない。
花野…。

また、会えますように。
たとえ遠く離れても、終焉にはキミのもとへ…。

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