僕ら× 2nd.
第1章 みをつくし --Shu,Tk,R
~小柴孝明side~
寒い日が三日、暖かい日が四日続いて段々と春が来るっていうけれど。
家に詰めているとずーっと冬しか感じない、緯度の高い異国の4月。
父さんの援助を受けて、5歳年上のリィ兄とともに大学に通うようになり今年で3年目。
俺はイーゼルを立てて、何となくナイフをスライドさせていた。
空気のカンバスに、空気の彩飾。
建具取り付けのいい加減なこのアパートでは、独特な臭気を放つ絵の具は使えないから。
そんな俺に散歩帰りのリィ兄は、ツクシを見つけたと喜んで報告してくれるけど。
ああ、ツクシ…この国にも生えてるんだ。
施設のみんなで摘んで、湯がいて食べたなぁ。
味のないメンマみたいだったよなぁ…。
手を洗いに行ったリィ兄の、椅子にかかったジャケットをハンガーに掛けようとした。
俺って何て気が利く男って自分で思いながら。
寒い日が三日、暖かい日が四日続いて段々と春が来るっていうけれど。
家に詰めているとずーっと冬しか感じない、緯度の高い異国の4月。
父さんの援助を受けて、5歳年上のリィ兄とともに大学に通うようになり今年で3年目。
俺はイーゼルを立てて、何となくナイフをスライドさせていた。
空気のカンバスに、空気の彩飾。
建具取り付けのいい加減なこのアパートでは、独特な臭気を放つ絵の具は使えないから。
そんな俺に散歩帰りのリィ兄は、ツクシを見つけたと喜んで報告してくれるけど。
ああ、ツクシ…この国にも生えてるんだ。
施設のみんなで摘んで、湯がいて食べたなぁ。
味のないメンマみたいだったよなぁ…。
手を洗いに行ったリィ兄の、椅子にかかったジャケットをハンガーに掛けようとした。
俺って何て気が利く男って自分で思いながら。