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僕ら× 2nd.

第1章 みをつくし --Shu,Tk,R

キーキーと叫ぶ女をソファーにおろし、俺はマスターに声かける。

「知り合いなんだ、許してやって?」

「ああ、上の部屋空いてるよ」

「連れてかなきゃダメ?」

あの狭い階段を引き上げるのは…。

「あれは、酒?クスリ?」

「両方かなぁ?辰巳はどう思う?」

カウンターに座っていた1名に尋ねる。

「あそこでいんじゃね?片乳見えてるし」

「連れてくよ…」

髪の毛を引っ張られ、肩に噛みつかれながら俺は2階の1室に女を運んだ。

すでに布団が敷いてあり、誰かが過ごした跡があったけど、構わずに転がす。
その横に腰をおろして、話しかけた。

「おい、俺が誰かわかるか?」

「チロリン村のブラックバット」

「そうかもな」

錯乱してちゃ会話にならねぇ。
俺は暫く黙って、持っていたボトルの水を飲んだ。
窓に覗く細い月を見上げながら。

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