二人のキセキの物語 MN
第72章 再会の二人7 翔
7-2
「下向いて 鼻の付け根をぐっとつまんでてね」
「・・ハイ・・・」
勧めてくれたソファーに座り、右手で鼻の付け根をつまむと
智くんが 足元の床にぺたんと正座して
蒸らしたタオルで俺の左手に付いた
血を拭ってくれる
「あ・・ごめん。あの、自分でやるから・・・」
「ううん、俺がやりたいから」
「え・・・」
「ほら、翔ちゃんは鼻押さえてないと、ね?」
「あ・・・、ハイ、 ありがと・・・」
「こっちが拭けたら 手を替えてね」
「・・・ありがとう・・・」
俺の掌と指に付いた血を 丁寧に拭いてくれる智くん
手に持ったタオルが 見る間に赤く染まって行く
うわぁ・・・この染み、ちゃんと落ちるのかな
全く・・・俺はどれだけ世話のやけるヤツなんだろう、と
何度目かの自己嫌悪に陥った