二人のキセキの物語 MN
第10章 出逢いの二人10 ニノ
俺が監督の役に立てているんだ、という事自体は嬉しかったけど
あぁ、やっぱり 監督は役者としての俺に興味があるだけで
俺個人には 微塵も関心が無いんだなぁ、と思い知らされた
だけど、それは以前ほど辛い事では無くなっていて
こういうことを繰り返すうちに
自分の中にあった監督への想いも
いつの間にか少しずつ形を変えつつあることを感じていた
それは 潤くんと出逢う少し前から
生まれたての雛が親鳥を全面的に慕う様な思慕から
漸く、少しずつ脱し始めた時期だったのかも知れない