
二人のキセキの物語 MN
第62章 背中合わせの二人8 潤
「それは全然いいんだけど・・・もしかしてまだ外?」
「あ、ごめん、後ろ煩いよね。うん、ちょっとみんなと呑んでて・・・」
「・・・・・・」
俺がこんなにもタイミングを考えて電話をして
リプもコールバックも無い事に気を揉んでたってのに
あっさりと“ みんなと呑んでて ”だなんて
カズは全然悪くないとわかってても
自分の気持ちが小さくささくれ立つのを感じる
けど、俺はもう、短気で思い込みの激しいガキじゃない
カズを広い心で包み込む大人の男なんだから
ここで喧嘩なんかしないぞ
尖った声なんか出さないように
スマホを顔から離して こっそり深呼吸した
