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地下アイドルの休日

第5章 沖縄珍道中

朝食の後、ちはるんは念入りに歯を磨いていた。
どうやら山田選手に告られるてキスする時のことを考えているらしい。

「ひひひ、今日はいよいよ運命の時が来るよ」とちはるんは興奮気味である。

だが、山田選手が来ることもなく、空がゴロゴロいい出して怪しく光る⚡

ヤバいなと思った時に既に遅く、ザア~っと豪雨だというレベルの酷い雨に打たれた。

「はちゃちゃ、あちゃちゃ」

雨具の用意もないふたりは慌てふためいて雨をしのげる場所まで逃げた。

「あ~ん、もうびしょびしょ」とちはるんが嘆きの声をあげる。

ひどい、ふたりとももうずぶ濡れだ。

「・・貞子」

ちはるんのひどい顔を見てあやのんは吹き出した。ショートカットのあやのんはひどいといってもまだいいが、ちはるんの長くて多い髪はびしょ濡れで悲惨なことになっていて、しかも雨に打たれて顔面は蒼白で、なんか貞子のようにオカルティックななっている。

あやのんも爆笑するこんなひどい姿を山田選手に見られずに済んだのは不幸中の幸いであった。

「くそ~っ、人の恋の邪魔をするなんて雨め~っ」

とちはるんはさらに嘆く。そらジローにお祈りしたのにアテにならい。くもジローやあめジローが勝ってしまったじゃないかとちょっとそらジローを恨んでみたり・・。

「まあ、頭を冷やしなさいってことね」とあやのんは妄想を暴走させているちはるんをたしなめるのだが・・

「えっ、頭を冷やさないといけないことしたの?困るな~、あやのん、人の恋の邪魔なんなしちゃ」とちはるんは膨れ顔をする。

「バ、バカヤロー、頭を冷やすのはお前だ」

二夜連続でちはるんのあられもない寝姿に興奮したことはこの際内緒だ。ちゃんと邪気退散のお祓いをしたりして自分を戒めたし、やはり頭を冷やさなければならないのはちはるんだとあやのんは思った。

ホテルに戻ってお風呂に入ったりして身なりを整え直すと昨日行けなかったところを回ってみようとも思ったが、雨はかなりひどいので、そんな中を出歩くのもかったるいので、結局その日はカラオケに行った。

沖縄の旅行の間はレッスンもないし、歌っていなかったのでちょうどいいと、ソロで歌う時のカバー曲を歌ったりもした。

フルーティの歌も探してみたが、某県付近ではけっこうあるのだが、さすがに沖縄ではいので、練習もかねてふたりで歌う時のカバー曲も歌ってみたりした。

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