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地下アイドルの休日

第2章 夏休み申請

ワンマンライブの前日はあやのんの故郷の町の夏祭りがある。この町はフルーティ結成当初から応援してくれていて、夏祭りでは45分のちょっと長めのステージを2回やるのが毎年の恒例となっている。

この町の夏祭りは某県の中でも有名な花火大会と重なることが多いのだが、花火大会のオファーを蹴ってでも出演するぐらいに大切にしている。

今年はこの町の夏祭りでまた伝説を作った。
夕方祭りが始まると同時に雨がぽつりぽつりとし始めた。

「くうう~っ、何とかもって」とソラジローにお祈りしてたのも虚しく雨がぽつりぽつりとしてきてしまっている。

それでもぽつりぽつりだから止むよとカッパを着てのリハーサルを行う。リハーサルの段階から大盛り上がりで、遠くの街からやってきてくれているファンの姿もちらほらとあるのは嬉しいことである。

ところが1回目のステージ間近になるともう土砂降りというぐらいひどくなって人々は公会堂などに避難してしまった。

これはもうダメだと諦めかけたが、ステージの時間になるとピタリと雨が止んだのだ。

ステージは大盛り上がりだった。
天候も心配なので2ステージぶっ続けで90分間行ったのだが、ステージが終わった途端にまた激しい雨が降りだした。

ステージの時間だけ晴れるなんて奇跡的で物語のようなことであるが本当のことである。

このような奇跡をフルーティは何回か起こしてきた。時にはライブ直前まで雷がゴロゴロいっていて、わりと近くに落ちたりしたのにステージの時間になったら、あれ、雷どこ行った?なんてこともあったりした。

そんなフルーティのハレパワーを称えてハレルティーなんて呼ばれたこともある。

ともかく夏祭りは無事に終わって翌朝は早くからN市へ。ワンマンライブは本当に全力投球で挑む。

ワンマンライブはまずちはるんの前説から始まる。撮影禁止などの注意事項や今回のワンマンライブへの意気込み、見所などを説明するのだが、漢字や英語にはルビを書いているにもかかわらず所々間違ってしまう。中にはルビを間違って書いてしまってある箇所もある。

間違ったりつまったりすると見かねてあやのんのフォローが入るのだが、そのやりとりは今ではワンマンライブの見所のひとつとなっている。

前説で笑いが取れるステージなんてそうあるものではなく、かなり人気が高い。

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