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Living with Simone アイツと暮らせば

第5章 アイツの眼にも涙

仕事中に突然起こった酷い頭痛と吐き気。

ミカは出先でクライアントにプレゼン中だった。

もうね、喋れんのよ。痛くて。

近くのゴミ箱を抱えるようにして、吐きまくった。

…くも膜下出血?脳梗塞?

そのうち意識が朦朧とし始めた。

…で、気がつくとベッドの上だった。

健康優良児…じゃ無かった健康優良BBAですよ?
今まで大病なんてひとっつもしたことが無いミカですよ?

頭の痛いのはだいぶ落ち着いてたけど、
高熱と吐き気が続いてた。

検査を一通り終わらせたんだけど、
原因が判らねぇと来たもんだ。

…感染症?インフル?

眼を覚ますとですね、
隣に人もどき…じゃ無かったアイツが居た訳ですよ。

あれ?幻覚を見てるのか?

「なんでお前が居るの?」

しゃがれ声で、アイツに言うと、ガタガタと音を立てて部屋から出て行きましてね、入れ替わりで看護師さんがやってきた。

「お友達?それとも彼氏?あの人心配して泣いてたわよ〜。ほんっとにあの人カッコ良いわね(はぁと)。」

…泣く?アイツが?

話を纏めると、身元保証人と連絡がつかなかったところに、売ったものを買って返せとミカの携帯に電話掛けて来たアイツに繋がり、”同居”してたぐらいの友人だったという事で、来てもらったらしい。

「すぐにERに来てくれてね、
荷物取りに行ってくれたり、ずっと傍についてたのよ。」

…シモーネじゃ無いと思うんだ。その人。

「とっても落ち着かない様子だったの。愛されてて良かったわね。」

ミカは慌ててアレックスと日本人妻のミヨさんに電話。

アレックスが10分ぐらいでやってきた。

その速さに驚いたんだ。

「シモーネが、泣きそうな声で電話掛けて来てさ、ミカが倒れたって。」

結局ミカは、3日ほど入院致しましたとさ。

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