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青色と黄色の短編集

第8章 アイドルとマネージャー

Nside



「今日もお疲れ様でした」

「…うん」

「あれ、どうしたの?」


明らかにテンションの低い僕を心配する大野さん。

そうだよね、些細なことだよねあんなの。



今日お邪魔した番組で
男の芸人さんが僕のこと好きって言ってくれて

それは嬉しかったんだけど

なんかその場の流れで抱きしめられたんだよね。

いや、別にめっちゃ嫌とかじゃないし
この仕事してりゃ完全に避けられることでもない。


なにが嫌だったかって、大野さんに見られたこと。

満更でもないって思われちゃったかなぁ…


俺が一番抱きしめて欲しいのは大野さんなのに。






大野さんは僕のマネージャーになってから1年くらい。


不思議とどんどん好きになってしまった。


闇のあるこの世界では、年上は怖いもの。

世渡り上手じゃなきゃならないし
世間体もある程度気にしなきゃいけない。


でも大野さんはただただそばにいてくれる存在だし、
僕のことを誰よりも分かってくれてるから。


優しい人柄に恋をしてしまった。


好きになってから半年、
仕事でキスシーン演じてるのも
ファンの方のためにちょっと露出の多い服着るのも

少し抵抗を感じるようになった。


もちろんこなすんだけど、


大好きな大野さんに見られてるっていうのが

なんかちょっと恥ずかしくて。




それを仲良しの翔くんに相談したら


ただ一言、

「それは抱かれたいんだよ」って…。




僕…大野さんに抱かれたいんだ。



今まで何度も

そんなような事を妄想してきた。

ダメと分かっていながら
家に帰って一人になるとその感情が出てくる。


まだちゃんと「好き」も言えてないのに

男同士なのに

タレントとマネージャーなのに




でもその気持ちは間違ってないよって

翔くんが後押ししてくれたんだ。






こんな僕を受け入れてくれますか?




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