子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第1章 片思い
「……森下さん?」
ぼんやりと視線を上げると、真木部長があたしの目の前にいた。
いつ見ても綺麗な顔立ちだなと、じっと見つめてしまう。
「森下さんの好きな奴って、麻生のこと?涼くんて麻生のことだよね?……ごめん今日、聞いてしまったんだ」
「……は…い」
「麻生のことが好きなのか?ずっと片思いしてたのか?……でもあいつは体だけの付き合いって、言うような奴だよ?」
真木部長があたしの傍で、しゃがみ込んで話をしている。
その距離がやけに近くて、ぼんやりと見惚れてしまう。
「大丈夫か?……森下さん?」
「……それでも、それが大人の付き合いなら……」
「森下さん……、そんなのダメだ……、俺だったら君に悲しい思いさせない、俺は君のこと好きだから……」
「……それは、嬉しいですね……夢みたいです……真木部長は素敵な人だから……あたしなんて……勿体ないです」
「何を言っているんだ、君はこんなにも可愛いのに……」
ぎゅっと抱きしめられた。
真木部長の大きな体に包まれて、ぼんやりしたまま目を閉じる。
「森下さん……?」
真木部長の呼ぶ優しい声が何度も聞こえる。
それが心地よくて、目が開かない。
「可愛い、このまま連れて帰ってしまいたい、そんな無防備でいいのか?俺の家に連れて帰るよ?」
「……そんな夢みたいなこと、あるわけないです……真木部長は素敵な人だから……」
「おいで森下さん……」
ふわりとした体に包まれて、体が宙に浮く感覚に、安心して身を任せる自分がいた。