子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第5章 俺の天使
じっと見つめられるだけで、ドキドキして落ち着かないのは、
誠也さんが放つ色気のせいだ。
「いや、悪い、君があまりに綺麗で……」
「…なっ、……し、失礼しますっ!」
手を振り払い、今度こそトイレに行こうとして、
グイッ
また、あたしの手が掴まれた。
空気が素早く動く気配がして、誠也さんにふわりと抱きしめられてしまう。
「あ…の…真木部長…?」
「このまま、少しだけ、動かないでくれ」
……信じられない。
お連れの女の人がいるのに。
どうしてあたしを抱きしめるの?
離れなきゃ、
そう思うのに、体に力が入らなくて、
暫く抱きしめられたまま、誠也さんの胸に頬を寄せてしまった。
それを涼くんに見られたのには、気付かなかったんだ。