子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第6章 大人の関係
藤原凛花side
仕事を終えてすぐに、野上に掴まってしまった。
あれからお互いに忙しくて、まともに会話らしい会話はしていない。
何度か家に行き、セックスはしたけど、いまだに良く分からない関係のまま、
ずるずると体を重ねている。
一緒に二人で、手近な居酒屋に入った。
今日は金曜日、休日前だから、また…するのかな?
そんなことを考えて、生ビールを注文して乾杯した。
「森下ちゃんがデザイン開発課に行くとか寂しいわね?今までのように、一緒にランチとか出来なくなるのかなぁ?」
生ビールを飲んで、ぽつりと呟く。
「開発課は忙しいからな?時々は大丈夫なんじゃないか?」
「そうかな~、真木部長とも別れたみたいだし、なんだかつらそうな顔してたもん」
生ビールを飲む野上が唸るように口を開く。
「でも麻生部長とは上手くいってるみたいだしな?ちょっと意外だったけどな」
「上手くいってるように見える?真木部長もなんだか元気なくて、総務課の雰囲気悪くって、あたしが慰めるとか無理っぽいし」
真木部長はずっと憧れていたけど、森下ちゃんが本当に好きみたいだし、
時々切なそうに、彼女を見つめる姿に、
胸が痛むけど。
「なに、真木部長のこと、まだ諦めてなかったのか?」
ムッとしたように、眉を潜める野上。
切れ長の瞳が鋭く見えて、ドキリとする。
「だから、憧れてただけよ?真木部長だったら、一度くらい抱かれてみたいって、女性社員はみんな言ってるしね?」
「俺は麻生部長の方が、モテると思ってたけど、わりと厳しいから、そうでもなくなったよな?」
「仏の真木、鬼の麻生って、対照的だもんね~」
二人で笑い合いながら、生ビールを飲む。
つまみは刺身の盛り合わせに唐揚げ、ムードもへったくれもない。
……だいたい社内でモテてるのは野上もだっていうのよ。
相変わらずのイケメン、切れ長の涼しげな瞳と目が合う度、
落ち着かない気分になる。
少し離れた場所に座る、女子会の雰囲気の4人組が、
さっきからチラチラ目線を送っているし、
時々聞こえる声に、ますます落ち着かなくなる。
『……格好いいよね~?』
『……やっぱり彼女かしら?』
ひそひそ話に笑い声。