子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第7章 愛され過ぎて
……真木部長、誠也さんだ。
やんわりと鈴木くんの手を掴み、苦笑いをする。
「……報告が遅いと思ったら、何をしてるんだ?」
軽く鈴木くんを睨んで、あたしを見てふっと笑う。
一瞬だけ、手が触れてしまった。
それだけなのに……。
体が勝手に、熱くなる。
「真木部長、ちょうど今、報告しようと思ってたんですよ?」
途端に切り替わるように笑う鈴木くん。
真木部長はもとはデザイナーで伸し上がった、天才肌。
海外でも活躍してたのに、ある時にいきなりスランプに陥り、
指導する側になったとの噂だ。
デザイン開発課と総務課を同時に指導する立場の人。
他にも課長とかもいるんだけど、あんまり係わることがない。
「今回は森下のデザインで教えながら、やっていこうと思います」
あたしのパソコンを真木部長に見せて、興奮したように説明する鈴木くん。
真木部長がパソコンの画面をじっと見つめて、頷いた。
「……これを森下さんが?」
「あっ、はい……」
ビクッ、
何故だか、体が震える。
真木部長の、仕事の時の厳しい表情。
総務課では見せない、真面目な無表情に、体の体温が急に冷えていく。
「そうか……やっぱり君は凄いね?思う通りにやればいい、なるべくフォローはするからね?」
「はい…っ」
ふわりとした優しい笑顔なのに、どこか寂しそうに見えて、
また、胸が痛んだ。