子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第7章 愛され過ぎて
「……あれっ?これ…さっきの居酒屋のやつ……?」
あたしのパソコンを見て、鈴木くんがそう声を掛けた。
恥ずかしくて、すぐに隠そうとして、真面目な顔をする鈴木くんが、
パソコンの画面を食い入るように見つめた。
「…あっ、すいません…っ、あたしの勝手なイメージで…っ、他に何か仕事があれば、言って下さい、手伝いますから…っ」
「いや……、いいよ、むしろ…凄くいい、こういう仕事ははじめてだよね?」
「あ…はい……」
「ふうん……?詳しく見てもいいかな?」
あたしのパソコンをじっと見つめて、マウスの操作をする。
鈴木くんの大きめな瞳が、厳しく輝いて、パソコンに注がれる。
あたしがデザインしてた、老夫婦の居酒屋を見ているだけなんだけど、
あたしの背後に立って操作してるから、距離が近くて、
後ろから抱きしめられてるような、格好になっている。
広い胸板を背中に感じて、急に意識してしまう。
「驚いたな、さすが森下先輩、俺がイメージしてた通りだ、今回はこれでいこう。真木部長にも相談して、森下さんのデザインしたので、話を進めよう」
パソコンから顔を上げて、あたしをじっと見つめる鈴木くん。
その表情は明るくて、嬉しそうにも見えた。
「……はっ?え、でも…まだ、これじゃあ…」
……驚いて戸惑いを隠せない。
自分でイメージして、勝手に形にしただけなのに?
「もちろん、まだなおすところもあるけど、俺はこれがいいと思う、見てしまったからには他のモノは考えられない、森下さん」
改めて名前を呼ばれて、鈴木くんが握手するように、手を差し出した。
「改めてデザイン開発課にようこそ、森下さんのデザインしたので、一緒に仕事していこう」
「は…い、はい、よろしくお願いします」
おずおずと手を伸ばして、鈴木くんに掴まれるように握手をされた。
大きな手。
「うわ、小さくて柔らかいな~」
きゅっ、
あたしの手の感触を楽しむように触る鈴木くん、すっぽり包まれてるから、
抜け出せなくて困ってしまう。
「あの…鈴木くん?」
困って視線をさまよわせてたら、あたしの目の前を遮るように現れた、
大きな背中にドキリとした。