子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第7章 愛され過ぎて
デザイン開発課では、デザインプランナーの人と、デザイナーは一緒に仕事を組む。
プランナーは女性の人が多く、デザイナーは集中して仕事出来るように、
常にサポートしてくれる。
パソコンに向かって営業部から持ち込まれた仕事を、さっそくデザインしていると、
隣の席にいる、鈴木くんの視線に気が付いた。
「どうしたんですか?」
チラリと視線を合わせると、フイと視線を反らされた。
「…いえ、何でもないです」
パソコンに視線を戻している鈴木くん、煮詰まっているのか、
あんまり作業は進んでないように見えた。
「…そういえば、最初に鈴木くんと一緒に仕事した居酒屋さん、もうすぐ業者が完成するって言ってたですよ?一緒に見に行きましょうね?」
「…あれはほとんどが、森下さんのデザインしたモノじゃないですか?俺は森下さんの知らない事を教えただけです」
……しまったな、逆効果な話になってしまっている?
「でも鈴木くんのお陰で、あそこまでいいものになったんだから、あたし一人の力では出来なかったよ?」
慎重に言葉を選んだつもりだったのに、鈴木くんはガタッ、
席を立って、パソコンの電源を消してしまった。
「俺、資料室に行って来ます」
「あ、うん、行ってらっしゃい、…あっ、あたしもそういえば、資料室に行く用事があったの…っ」
慌てて立ち上がり、鈴木くんと一緒に行くようにして、パソコンの電源を落とした。
しょうがなさそうな、鈴木くんの態度に不安になる。
資料室には本当に行く用事があったけど、タイミング悪かったかな?
そう思ってエレベーターに乗り、沢山いる社員の中に、
涼くんの姿を見て、ほっとした。
さりげなくあたしの傍に近付く涼くん、エレベーターが動き、人混みの中、分からないように、
スッと手を繋がれた。
エレベーターが止まり、何人かの社員がぞろぞろと出て行き、
涼くんもすぐに下りて行く。
……そっか、会議があるんだな?
エレベーターの中で、鈴木くんと二人だけが残り、資料室の階へとエレベーターが向かう。
何となく上がって行く、エレベーターの数字を見つめた。
「…営業部長と付き合ってるんですってね?…その前は真木部長だったとか?…部長クラスが好きなんですか?」