子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第7章 愛され過ぎて
「今のお前の状況は、俺にも見に覚えがある、だが森下さんに、こんな事をするのは許さない、今すぐに会社を出て行け!」
吐き出すように叫んで、鈴木くんの胸ぐらから、乱暴に手を離す。
鈴木くんは一瞬、泣きそうな表情をして、慌てたように、資料室を出て行った。
バンッ、
激しい音を立てて、彼が出て行ったのを確認して、
誠也さんがほっと息をついた。
そっとあたしに近付いて、乱れた衣服を整えてくれる。
「……最近の鈴木は、スランプ気味だった、気になって会議に行く前に、覗いてみて…間に合って良かったよ、愛莉…、君が無事で良かった…」
ほっとしたように、大きく息をついて、ふわりと優しく抱きしめられた。
「……誠也さん…?あたし…っ」
懐かしい、誠也さんの体温、安心する温もりに、目頭が熱くなった。
頭を優しく撫でられて、溢れる涙が零れてしまう。
「……俺の名前を呼んでくれたね?それだけでも嬉しかったよ?」
何度も頭を撫でられて、誠也さんの胸の中で、暫く涙が止まらなかった。
……資料室の外に涼くんが居たのは、気付かなかったんだ。