子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第8章 本当に好きな人
川合伊予side
麻生部長はお洒落なバーとか、飲食店とか、高そうな店に入りたがり、
接待じゃないんだから、くだけた雰囲気の居酒屋に案内する。
「女の子はそういうのが、好きなんじゃねぇの?」
「私はむしろ苦手です、落ち着いて飲む場所より、ぱあっと飲みたいなら、昔懐かしい居酒屋がいいですよ?」
一人で飲みたい時に、良く行く居酒屋は、古びた造りになっていて、
昭和の歌が流れてて、古びた木造の味のある店だ。
常におでんが置いてあり、九州出身の大将は、あっけらかんとしている。
お酒の種類も豊富、カクテルはないけど、焼酎と日本酒は充実していて、
カウンターにズラリと並んでいる。
麻生部長は店内を見回して、キョロキョロしている。
その姿がまた、可愛いと思ってしまった。
カウンターの席に案内して、麻生部長と隣合わせで座った。
「おお、いらっしゃい川合ちゃん、唐揚げにするか?おでんも好きなの取っていいからな?」
大将に話かけられて、取り敢えず生ビールを二つ注文する。
「なんだお前、常連なのか?」
「そうですよ、私けっこう強いんですから」
「飲み会来ないじゃないか?」
「飲み会でまで、仕事したくないですから」
「違うだろう、あれは親睦会みたいなモンで、社内の奴と仲良くしろよ?」
「仕事で必要な会話はしてますけど?それ以上は必要ないです」
「お前ね…」
「麻生部長、生ビール来ましたよ?」
大将が生ビールを渡してくれて、
「はい、お待ち~」
そこで会話が途切れて、苦笑いして乾杯する。
お互いに、ごくごく飲むのが長くて、半分以上飲んで、
ぷはぁ、
一息ついて、目を合わせて笑った。
「…なんか、いいな、こういう場所、初めて来たのに、懐かしい気分になる」
「でしょう?おでんもしみしみで黒っぽいのに、しつこくないんですよ?大将みたいな感じなんです」
「おお、ワシが色黒っちゅうんか?しつこくはないけの~?」
大将が口を開いて、
にかっと笑った。
唐揚げが来て、おでんを取って、麻生部長と一緒に食べた。
「…なんだこれ、うめぇ…」
◯◯や◯◯の唐揚げよりも、旨いとぶつぶつ言いながら、
嬉しそうに食べている。
あ、また、可愛い……。