子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第3章 頭の中から離れない
また、保護者みたいにお説教?
「だいたいお前は、ただでさえ子供っぽいんだから、誘拐でもされたんだと心配するだろ?」
「大丈夫だもんっ、いつも誠也さんに送って貰うしっ、もう子供じゃないもんっ」
キッと睨み付けると、涼くんに苦笑いされた。
寂しそうな笑顔。
「そうだな、悪い…、いつまでたっても心配なんだよ、遅くなる時は俺に連絡しろよ?」
ポンポンといつものように、頭を撫でられて、俯いてしまう。
藤原さんがハラハラしたように、あたしと涼くんを見比べている。
「森下ちゃんが残業の時は、いつも真木部長が送ってましたよね?それ以外はあたし達と帰るし、心配なら麻生さんも一緒に帰りましょうよ?」
何故だか藤原さんがそう言って、首を傾げた。
ひょっとして、藤原さん、涼くん狙いだとか?
そういえば藤原さん、モテるのに、そういう話、聞いたことない。
涼くんはにっこり笑って藤原さんを見た。
「そうだな、真木と一緒に帰れない時はそうしよう」
爽やかな笑顔を残して、先にビルに入って行く。
さらりと藤原さんの視線から逃れるように見えて、ちらりと藤原さんを見た。
「藤原さん?」
「ねぇ森下ちゃん、真木部長のこと、好きになっちゃった?麻生さんのことは、もういいの?」
「藤原さん、涼くんのこと……」
「そんなんじゃないの、森下ちゃんが涼くんのこと諦める必要があるのかなと思ってね?」
含みのある言い方だった。
回りの社員が急ぎ足でビルに入って行き、足を止めていたあたし達も、
慌てて会社に入って、その話はそこでうやむやになってしまった。