子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第3章 頭の中から離れない
真木部長と一緒に会社に向かったけど、さすがに噂が気になるから、
無理を言って途中で別れた。
残念そうな表情の誠也さん、しょうがなさそうに先に会社のビルに入って行く。
それから間を空けて、ビルに入ろうとして、藤原さんに声を掛けられた。
「見たわよ、やっぱり一緒に出勤するってことは、真木部長と付き合っているってこと?」
「あっ、うん、そうなんだ……」
藤原さんなら優しくて、美人の先輩だし、会社でもいつも助けて貰うからと思って、
思い切って打ち明けた。
「やっぱりあたしの勘は当たるでしょう?だって森下ちゃんには特別優しかったもの~」
「え…と、そうかな?」
「そうよ~、それに森下ちゃんを見る、目が違うし~、あ~あ、可愛い森下ちゃんが部長の毒牙にかかったなんて~」
……声が大きい、焦って指を立てて、回りを見回してしまう。
「藤原さん、声…っ」
「しかも今日すっごい可愛い~、さすが部長~分かってるね~」
ぎゅっと抱きしめられて、頬擦りされてしまう。
ついでに胸を揉まれてしまい、悲鳴を上げた。
「なに女同士でチチクリ合ってんだよ?」
べりっと引き離されて、肩を掴まれた。
視線を上げると、涼くんがむすりとした表情で、隣に並んだ。
「あっ、麻生さん、おはようございますっ」
「涼くん、おはよう」
鋭い視線であたしを見つめる涼くん、相変わらずの綺麗な顔立ち、
薄茶色の瞳がきつく感じた。
「……お前、最近自分のアパートに帰ってねぇの?」
涼くんはあたしの家のアパートを知っている。
引っ越しの時に両親と一緒に手伝ってくれたから、
涼くんが香港に行く前までは、良く家に来てご飯を食べていた。
「……ちゃんと、帰ってるよ?昨日は…ちょっと…っ」
そう言うと、ますます恐い顔をする。
「……ふうん、もう俺の飯、作ってくんねぇの?」
何となく、寂しそうな表情、
どうせただ、ご飯作って欲しいだけだろうし。
「だって、涼くんだって、彼女もいるだろうし、昔みたいには出来ないよ」
「いねぇよ、お前はあいつと付き合ってんだろ?……でもアパートには帰れよ、両親も心配するだろ?」