
子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第4章 熱くなる体
涼くんが立ち上がって、お皿を取りに来た。
「憧れね、ずっと一緒に過ごして、今も目の前にいるのにな?」
お皿を持つ涼くんに、真っ直ぐに見つめられて、その視線が寂しそうに、
揺れているのに気付いた。
なんとなく視線を外して、お皿を持つ涼くんが、不意にあたしの髪に触れた。
「……そんなの似合わねぇ、お前はずっといつもの髪型でいいんだよ」
スルリと外されるシュシュ。
ばさりと髪が肩にかかった。
……せっかく誠也さんが、綺麗にしてくれたのに。
お皿をテーブルに持って行って、手を合わせて、食べる涼くんを、
鋭く睨んでしまった。
「今日はいろんな人に誉められたのに……」
唇を噛んで俯くと、焼き鳥を食べる涼くんが、あたしの顔を見て、
しまった、というように、
焦ってあたしの傍に来た。
髪を撫でながら、丁寧に編み込まれた形をほぐされて、抱きしめられた。
「悪い…っ、つい、見慣れなくて、意地悪した…、お前は昔から、可愛いよ……」
頭を撫でられる。
子供をあやすような態度に、胸がモヤモヤする。
昔から涼くんは少し意地悪で、からかわれるけど、
あたしが泣くと、オロオロしてしまう。
そんな時に追い討ちを掛けるように、あたしのお母さんと涼くんのお母さんが、
涼くんをきつく責めていたから……。
思い出して笑ってしまった。
「……なんだよ、泣くと思っただろ」
スルリと体を離されて、テーブルに戻って、焼き鳥をまた、食べる涼くん。
こういうやり取りも、久し振りだな……。
そう思ったんだ。
