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『ま゜』

第6章 ツインベーから??

 これは、水戸さんに運が味方をしたと言ってもいいだろう。

 矢が喉を突き破り、後頭部から突き出たくらいの負傷は、水戸さんにとっては、蚊に刺されたほども感じない。

(鴨や猫を的に矢を放つなら、私に射ちなさい。いくらでも受けてやるわ)

“うん……まあ、頼もしいことを言ってるんだろうけど、そんな都合よくお主はおらんからな。いや、都合もなにもお主自体がどこにもおらんからな……そう、遊びで人や動物に矢を向けてはいけない。現実はゲームではないのだ。このご時世、不満やストレスは必ず心のどこかで生まれてくる。しかし、それを無関係の人間や、弱い動物達に八つ当たりをするのは、人としてどうかと思うな”

(そうだそうだ! だったら、早く私をここから出せ!)

“いや、違う違う……え、これ、私があなたに八つ当たりしてるって、ことになる? ボーガンは事故だし……いや、安全性に配慮してなかったのは、たしかに、私のせいだけど、普通、みんなボーガンの後ろに回るし、それに、私の言葉で反応してボーガン発射するってさぁ……どうよ”

 水戸さんは口に溜まる、茶色い血を吐くと、どこにいるかわからないゲームの神に、指を差した。

(さあ、次が最後でしょ。なんのゲームよ!! さっさとクリアしてやるから、早く案内なさい!)

“ま゜……て、なんで私がこれを言うのっ!?”


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