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触って、七瀬。ー青い冬ー

第19章 夢色の雨




そんな風に求めていたら



求められていた



無意味だとわかっていても

求められるのは

気持ちが良かった


俺が求めているのは無意味なもの



俺がかき集めているのは要らないもの



ゴミだ



それでも



そんなゴミを求めているのは俺だけじゃなかった



たくさん、たくさんいた



そして白い羽など持ち続けていられるものなど

背負い続けていられるものなど

この世にほとんどいないと知った


みんな、捨ててきたのだと知った




少なくとも俺を求めた彼らは



みんな俺を見て泣く


俺も捨てたんだと言うと


私も捨ててしまったんだと


言って泣く



そうして泣く人々を慰める


俺も捨てた、君も捨てた、

皆捨てた、


そう言って慰め合う



そして求め合う


要らないもの同士




そう、要らないんだ


要らないから


欲しくなる



手に入れても
要らないなら捨ててしまえるから

だけど


もし必要なものを手にしてしまったら
もし希望を、光を手にしてしまったら


それを手放したくないと
生きる希望を見つけてしまったら


そしてそれを失ったら


また羽をもがれたら



一体どうやって



一体どうやって、息をすればいい








「…仕事だ」







事実、俺は一度白い羽を取り戻した



しかし今、また失った




二度目の墜落



今度はもう二度と光など刺してこない



もう二度と光など見ない

見たくない






…確かにそう思ったのに俺はまだ



まだこうして




「仕事なら、何をしてもいいって事ね。
求められたらそれが何だろうとやってあげるって?
でも、仕事だから、それで誰かが傷ついたとしても
自分の責任じゃないって?」




ああ、醜いなあ


そんなことは分かってんだ


今更何と言われても








赤い絨毯を見つめた




「さっきの彼女、きっと彼氏がいたこともないような子だよ。そんな子をああやってさ、自分の目的のために好きなように弄んでさ。凄いね。

それにあれは仕事じゃないよね?あれは自分の目的のために、求められてもいないのにやったことだよね」



白い羽が落ちてきた



「僕だって君達の仕事を利用してる身だから

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