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触って、七瀬。ー青い冬ー

第21章 湖上の雫


もうガバガバ飲んだよね
そうしたら頭ふらーっつって
なんか楽しかったんだよなあ」

「は、はあ…?」

「で俺、この後どうしたらいい?その子と
連絡先も聞かずに返しちゃったっつか
逃げられたんだ」

「それは、脈なしじゃないですか?」

「そうかもなあ…」

「だから私と飲みましょうか」

「えー?そういう感じ?」

「ていうか、なんで気づかないのよ」

「へ?」

あ、なんかやらかしたっぽい
なにか知らないが
ドリンクか?コールでも入れて誤魔化すか?

「ド、ドリンク入れます?」

その女性は自分を指差した

「?」

「…私!菅野朱莉!」

言ってやった!とその女性は胸を張った

「あっ、ああ!……誰?」

「え、え?え、え?ちょっと待って。
覚えてない、…です?か!?
うっそうそうそ」

「あ、あのーすみません全然覚えてない」

その顔をじっと見てみるが、全く身に覚えがない

「さいっっってーですね!本当に!信じられません!帰ります!」

あー、でもこの怒り方、なんか懐かしいような

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ」

「あれだけ人を召使いのごとくこき使っておいて、
覚えてないなんて人とはお話できません!」

「思い出した!思い出したって!
あの、あの人だよね、えーっと…」

「そんなんだからフラれたんじゃないですか?
多分私なんかの助言、すぐ忘れちゃうでしょうし!
だって顔すら忘れたんですものねー」

「それは悪かったです!すみません!ていうか早めに答え教えてもらえる?」

「は、はあっ!?なんですかその言い草は!
ほんっとーに、顔だけで十分とか言って私が馬鹿でしたよ!」

そんな風に怒るのを宥め、ようやく話がまともに聞けることになったのはかなり後のことだ

「…それであなたの首の傷がずっと気になっていて探してたんですからね。でも探しても見つからないし高校に出向くのもやりすぎな気がして。でもこの前道端で香田君と会ってそうしたらら未成年なのにこんなところで働いてるとかって」

「シャンパン入りまーす!」

「って、ちょっと!勝手に注文しないでくださいよ!」

「菅野さん、一応俺成人済みってことで話通してあるんでそこら辺内密に頼みますよ」

「は、はあ!?年齢詐称までしてっ」

「すみません、でも俺こういうことでしか稼げないんですよ。俺、病院から逃げた後

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