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触って、七瀬。ー青い冬ー

第4章 仮面の家族



「俺どっちもいけるから大丈夫。
ここで働くなら、男はダメとか言ってらんないんだよ。」

「あの…」

僕はベッドの上に押し倒された。

「翔太って、一応俺の名前だから」

翔太は僕の制服を脱がせ始めた。

「これ、犯罪じゃないんですか」

「そうかもなー。でも君、サインしたんでしょ」

「それは、しましたけど…」

「細かいことはいいからさ、とりあえずやってみりゃいいじゃん」

翔太は、シャツのボタンを外し、身体のあちこちに唇を滑らせた。

僕はその慣れた手つきにまんまと翻弄された。ちゅ、ちゅ、という音に連動して、
体がびくっと動いた。

「肌、白いね」

先生が僕によく言った言葉だ。

唇は突然乳首の先を吸った。


「あっ」

「いい反応」


翔太は何度、人と体を重ねたのだろう。
まるで息をするみたいに、僕の弱いところを探し当てて責める。

翔太の歯が乳首に立てられた。

「んんっ」

「痛いの好き?」

僕は首を振った。
それなのに、また噛まれた。

「は、あっあぁっ」

「素直じゃないね」

翔太は僕のベルトに手をかけた。

僕は慌ててその手を抑えた。

「これ以上無理です」

「童貞かよ」

「…まあ」

「ふーん、いいんじゃない」

翔太は僕のベルトを外した。

「ちょっ、よくないです!」

「初体験が俺、羨ましい」

「初体験って」

「童貞っつーことはアナルもでしょ」

「アナル…?」

「まさか知らないとか言わないよね」

「専門用語ですか」

「ネットとかで見ない?」

僕はたしかにネットでいくらか動画を見たが、全く興奮もしないし面白くもなんともなかったので、すぐに興味をなくした。

「あんまり興味なくて…」

僕は何かを見てオナニーをするという習慣はなかった。
手遊びをするように、触っていただけだった。それが普通だと思っていた。

…初めて想像したのは、高梨だった。

「ゲイなの?だとしてもゲイビもあるし」

「ゲイビ?」

「男同士の動画も見ないの?」

「男女のやつしかないと思ってました」

僕は小さい頃から全てを知っていると思っていたのに、翔太さんの口から聞く言葉は知らないことだらけだった。
いけないことだと思うあまり、遠ざけすぎていたのだろうか。

「本当に興味なかったんだね。まあいいや、知らない方がいいかもしれない」





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