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触って、七瀬。ー青い冬ー

第23章 舞姫の玉章


私の口に性器を押し込んだのは、私とサハルの倉庫での犯行を捉えた熊のような兄だった

毛や肌、目の色の違うのを汚れているとして、
いつも暴力でその汚れを排除しようとしている男だった

特に、サハルは私と違い髪の色が真っ黒だったために悪目立ちしてしまったようだが
熊に目をつけられたのは、父がサハルを最も贔屓にしたからだ

「…っぐ、く」

その熊は私の前髪を掴み強引に奥まで咥えさせた

「歯を立てるな歯を!」

熊は私の喉の奥、下の付け根を超えて押し入ってきた

息を吸えない、苦しい、臭い、汚い、熱い、酷い
それでも私は目を開いて熊の顔を見上げた

「何だその目はっ」

「んぐっ、んふ、ぅ」

私は心の躍るような感覚を得た
熊は私を服従させているように見せ、しかし彼は私の口内がこの世界で最も大きい快感を与え得るものだと知っていた
彼は私のことを手放せばしない
彼が私を蔑むほど、彼に返る快感は大きくなる筈だ

憎い相手に対して興奮することほど悔しいものはなく、だからこそより強く興奮してしまう

私はサハルの煮えたぎるような眼差しを感じながら熊のそれに舌を添えた

熊は勝手に腰を振るので私の軟口蓋をこすり
私は熊が腰を砕けさせそうにしながらなお、
私の後頭部を押さえ込んで離さないのを面白がった

そして、乱暴につかれる喉の奥がぐちゅりと彼の先端と絡み合うときの彼の漏らす端ない嗚咽を、
楽しんだ

彼は我を忘れて私の頭を愛でながら口内に射精した。

「お、ほおお…おっ…おっ」

「ん"っ…」

熊は私の頭を乱暴に撫でるようにした
私は口の端から、汚れた唾液を出した

「イヴァン、悔しくないのか?そんな奴に口を汚されて…」

「…兄さん、汚れてるのは元からさ」

「何故、そいつに奉仕してる間中けつの穴を締め
てたんだ、イヴァン」

「それにどんな意味があるの?」

「…あるよ、お前」

サハルが何か言う時、彼の背後に影が迫った。

「サハル、お前も空いてるなぁ」

サハルが振り返るより早く、熊は後ろから抱きつき
彼のズボンを下げた

犬の交尾は見たことがなかったが、今ならわかる
その強引さと身勝手さと迷いのなさは、犬の雄のそれと同じであったと思う

不思議でもない。その時彼らは犬だった

薬のせいもあるが、過剰なまでに欲を制御され抑圧された発情期の反動だった

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