テキストサイズ

本気になんかならない

第12章 1・2・3

「俺は割りこみになるから、ダメだ。それにもう、帰らなきゃ」

父親の言葉から状況に気づいたそのコは、取りさげる。
私の視界にも、人の脚が何本も並んでいるのが見えちゃって。

「なかなか会えないから、タディと撮りたかったな…」ってつぶやきが聞こえてせつなくなる。

お父さん、単身赴任なの?
撮影を受けてあげたいけれど、周囲にお客様が待ちかまえてるのなら、こうなったもう、難しいよね。
特別扱いなんかしたら、この親子が敵視されちゃうもの。

「ハンもそろった時に、また撮ろう?」と父親がなぐさめた。

ハン?
奥様かしら?

そして3人、待ちの列に礼儀正しくお辞儀して、私とカメラマンに手を振った。

子どもに慕われる良識あるお父さん、あんな人を彼氏にしたいなぁ。
あわよくば、宮石君にうりふたつで。。

あ、私ってば、失恋したてだったの忘れてた。

ハンカチのお礼を言うのも忘れてた。。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ