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本気になんかならない

第19章 中秋

そんな俺に「ふふっ」と笑った彼女は、
パチンと両手を打つ。

「あ、そうだ!
和波君って財布持ってる?

誕生日、私と同じ9月でしょ?
私、和波君に財布をプレゼントしようかな?」

「いや。財布はないほうが楽なんだ」

ひきだしに眠ってる北里からの
まだほとんど使っていなかったあの財布。

違うものであったとしても
俺は財布を見るたびに思いだしてしまうから。

「そうなんだぁ。
男の人ってそういう人、わりといるよね」

屈託なく笑うメグを見て、
俺の背中に変な汗が流れた。

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