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本気になんかならない

第20章 リンドウの咲く季節

学校についた俺は部室を覗く。
そこでは部長がひとりで壁をせっせと磨いていた。

俺に気づいた部長は言う。

「よお。そこ、よろしく」

「了解」

そう返事して俺も雑巾で磨きだす。
しばらくは、ふたり無言で拭いていた。

そのうち、部長が話しだす。

「宮石、F大専願で受けるの?」

「そう。部長は?」

俺としては、とりとめのない会話が始まったと思ってたんだけど。

「同じ。受かったら、ひとり暮らし?」

「いや。通うと思う」

「そっか。
俺、部屋を借りる予定だから
遊びに来てくれな?」

「ああ、いいよ」

部長のいる大学生活、
楽しそうだなっと単純に俺は思った。
そしてふたりは
ふたたび黙々と壁を磨く。

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