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本気になんかならない

第20章 リンドウの咲く季節

ふっと息を吐く音がしたあと、部長が口を開いた。

「…なぁ、宮石。あとでケンカしよ?」

「なぜ??」

そんな突拍子もないセリフに結びつく理由がわからなくて。
部長を見るも、彼は壁を睨んだまま口を動かした。

「ムカツクから」

「…いつから?俺何かした?」

自分の気づかないあいだに人を怒らせるのは
まあ、多々あることとは知ってるけど
面と向かって言われるのは滅多にないな。

さっきは部屋に誘われたのに…
俺の答えかたがまずかったのか?

全身で喜びを表したほうがよかったんだろうか?
だけど、まだ受かってもいないんだし。。

今日、遅刻したからか?
俺の壁の拭きかたが気に入らない?

部長が気分を害したきっかけを
俺が精一杯考えはじめる前で、彼は進めた。

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