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本気になんかならない

第20章 リンドウの咲く季節

「言っても俺のこと嫌いにならない?」
と、部長は尋ねてきた。

自分のことをムカツクと言われては、
その相手を嫌いになるというか
敬遠したくなるもんじゃない?
なのに被害者はそっちなの?

俺は眉根を寄せて部長を見る。
だけど怒っているようには見えなくて。

「それは、
俺のダメな部分を親切で教えてくれるわけ?」

言いづらい苦言も、
俺のためと考えて言ってくれるのなら
貴重な存在って思ったから。
だけど、部長の口ぶりはそうでもなさげだった。

「いーや。
宮石がダメって言ってるんじゃないよ。
あー、ダメなところは器用貧乏ってとこかな。
そんなんじゃなくてさ、俺はお前とは友だちでいたいんだ」

今度こそ部長は、俺と正面きって話しだした。

「意味わからない。俺は器用じゃないよ」

「その話は、置いといてさ。
俺のエゴだ、つきあえ」

そう言うなり、彼は間合いを詰めてきた。

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