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本気になんかならない

第21章 古りゆくもの

「は?違うよ」

睨まれてはうまく話せないだろうと
俺は視線を窓に向け、白い雲の動きを見つめた。
上空は風が、強い…
そんなことをチラと考えながら話す。

「ごまかさなくてもいいよ。
部長なら俺と違ってしっかりしてるし、面倒見いいし。
キスしても、別に怒らない」

ふたりが相愛なら、俺が吠える必要もない。
俺に気を遣わずにつきあってほしいと思う。
彼女には心から笑ってほしいから。

それに、今は一世一代の受験戦争まっただなか。恋愛をこじらせている場合じゃない。

「何言ってるんだよ。
俺がキスしたのは正木じゃないぞ?
宮石の彼女、とるわけないだろ!」

押しころした声を震わせる部長を
俺が見つめると

「誤解させるようなこと言ったのは俺だし
悪かったけど、本当に絶対違うからな?」

小さな目をきょろきょろとさせながら
彼はもう一度、念押しした。

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