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本気になんかならない

第26章 趣味:和歌

そこへ、佐倉が帰って来た。

「暑いし、重いし」と、
すぐに束帯姿(男性雛人形が着ているような服)を解き始める。

「カッコいいのに」とあげた副部長は、
ついで「脚の短さがごまかされて」と落としたけど

そんなこと言いながらも、佐倉の着替えを手伝ってあげていて
内の心と、外に出てくる言葉は違うんだなぁって。

素直になればいいのに、
変なとこで意地はっちゃって。。って、ふたりを眺める。

と、そのうちに、お前はどうなんだよ?って自分のなかで疑問がわいて。

ああ、俺も北里の前ではそうだったな
って思った。

彼女の逐一の言動に嬉しかったり、
悲しかったりしたことも

なんでもないように取りつくろって

どうにか俺に夢中になってほしいと願いながらも、自分が夢中になっていることを気づかれないようにと、変に大人ぶった。

ギリギリまで背伸びした俺は
かえって子どもっぽく映っていたんだろうなぁ。

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