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本気になんかならない

第27章 熱

この風呂、そんな広くないし。
使うのは自分ひとりだけと思ってたから
あんまり洗わないうちにお湯に浸かっちゃったし。

それに
小学生リィだけなら、まあいいとして
帆澄、お前はもう中3じゃないか。
それも、お世辞にも華奢とはいえない体格…。

そんな俺の不満なんて気にしない帆澄は、シャワーからお湯を出して身体を洗い始める。
リィもちょこんとその横に座って。

せまっ…

「俺、そろそろ出るよ」

頭なら洗面台でも洗えるしと、
あがろうした俺なのに

「背中、洗ってあげる!」
と、有無を言わさず泡をつけられ

「俺はとっく、洗ったっつーの!」ってウソついて抵抗しても、

「兄貴、筋肉いい感じな」なんて言ってから、
握力最大限か?と思うほどの力で腕をつかまれ、あきらめて座ると。
すぐに、背中にヂクッと針を刺されたみたいな衝撃が走って、俺はのけぞった。

「痛っ!帆澄、お前。力入れすぎ!」

「これくらい耐えろよ。
兄貴は、鍛えたりん」

ついさっき、俺の筋肉をほめたくせにっ。
それに、鍛えたりないとか言われても、背中が痛すぎる。
それでもって振りかえってみると、

「お前、それ!タワシだろ?」

「え?タワシだと気持ちいいだろ?
これで洗うと血行促進されてツルツルになるぞ?」

「ならなくていいよ!
ただでさえ怪力のくせに!」

俺が倒れたって聞いて、飛んで来てくれたんだとしても。
それなら、もっと労れよ…。

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