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本気になんかならない

第28章 green flowers

なのに、男は不満顔。

「俺、猫舌なんだよね」

「サラダから食べればいいんじゃないですか?」
自分のぶんのグラタンにスプーンを突っこんだまま、俺は言った。
すると、

「違うっ!俺は和君の作ってくれた
できたてグラタンを今すぐ食べたいんだっ!」

小さなコみたいに、スプーンを握った手でガンガンとテーブルを殴りだし…。

「すごく食べたいのに熱くて食べられない。
食べたい!熱いっ!食べたい!ってゆう、このジレンマがわからないのか?
なんとかしろ、和!」

この人、本当に北里の彼氏?
てゆーか、あのなめらかにピアノを弾く人間?

そう思いながら、立ちあがった俺は冷凍庫を覗いて提案した。

「…器を替えて、保冷剤の上にでも乗せましょうか?
あ、ドライアイスあるじゃないですか。
誕生日っぽく演出しましょうか?」

「おお、やってみろ。早くな!」

半分ヤケな俺は、ホーローバットにドライアイスを置き、その上にグラタン皿を乗せた。

隙間に水を流しこむと、白い煙がふわふわと発生。

絵的に地味なので、小さな瓶にいけてあった小花を脇にちょんと飾ってやった。

すると男は俺にバチッと人差し指を向けて、こう言った。

「よしっ。和君、採用!」

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