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本気になんかならない

第30章 初デート

彼女は落ちついた様子でナビゲートしてくれる。

「つぎの信号を左ね
で、しばらくはまっすぐ」

「わかった」

「そのお店って普段は、すっごい行列でね…。
だけど、この時間ならまだいけるはず。
11時半開店なのよ」

いたって冷静だな…。

さっきからも
これまでどおりの調子で接してくる北里に

俺のこと、まったく意識してないんだって。

一方の俺は
姿を見て、目があって、声を聞いて
手を伸ばせば彼女がいる……

とにかくソワソワして
彼女の些細な動作に一喜一憂。

だけどいまさら、避けられても嫌だから
まあ、これでいいかって

意識的に口角をあげて信号を見据えた。

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